ミュージカルの歴史
最初はストーリー性がなくショウ的要素の強いレビューが中心で、男女の恋愛を描きハッピーエンドに終わる単純なストーリーの作品が多かったのも事実です。
徐々に人種問題など社会性の高い問題を取り入れて複雑なストーリーを描く現代的ミュージカルに発展してきました。現代的なミュージカルの最初の作品は1927年の『ショウボート』であると言われています。その後、アメリカの移民問題をテーマとし、クラシックやジャズなどをたくみに融合させた『ウエスト・サイド・ストーリー』、ベトナム戦争を主題としロック音楽を取り入れた『ヘアー』、主役の背後にいる無名のダンサーたちに焦点を当てた『コーラスライン』、エイズや同性愛を扱った『RENT』などが作られるようになってきました。
もともとミュージカルはアメリカで作られたものですから、ブロードウェイがミュージカルの中心地でありましたが、1980年代になると『CATS』、『レ・ミゼラブル』や『オペラ座の怪人』といった、イギリス発のミュージカル作品が世界を席巻し、トニー賞もイギリス作品ばかりが受賞する事態に陥り、一時はブロードウェイ発のアメリカ産ミュージカルの存在感が薄くなってきたのも事実です。その後、『クレイジー・フォー・ユー』のリバイバル上演でようやくアメリカ産ミュージカルは息を吹き返すことになります。
現在は、ニューヨークのブロードウェイとロンドンのウエスト・エンドがミュージカルの本場となっています。近年はウイーンでもミュージカルが作られており、『モーツァルト!』や『エリザベート』といった作品が人気を得て、日本でも繰り返し上演されています。
1994年、映画大手のディズニープロが『美女と野獣』でブロードウェイに進出し、大資本を武器にブロードウェイ演劇を圧倒するのではないかと話題となりましたが。『美女と野獣』は自社のテーマパークのスタッフを起用したためか、評論家の間ではミュージカル的ではないと評価が低かったの事実、2作目の『ライオンキング』で前衛芸術家ジュリー・テイモアを演出家に起用し、実験演劇的な衣装デザインと舞台装置で高い芸術性を獲得してトニー賞を受賞しています。